今の職業の理想と現実

自分が音響系の仕事に関わり始めた頃はちょうどバブルの好景気のまっただ中でした。

土地や株価の高騰がニュースで伝えられ物は作れば何でも売れるような時代でした。企業も今に比べれば多くの新入社員を採用していたように思います。

1982年頃から始まったCDプレーヤーの普及がようやく本格的になってきた頃でもあります。

女性ロックバンドプリンセスプリンセスの「世界でいちばん熱い夏」のヒットが印象に残っています。

アマチュアのバンドオーディションTV番組イカ天「いかすバンド天国」でバンドブームが始まったのもこの頃だったと思います。

シンセサイザーはFM音源のYAMAHAのDX-7がヒットしていてPCM音源のKORG M1と人気を二分していました。

その頃スタジオではアナログとデジタルが混在していてアナログの良さを主張する人も多かったように思います。

スタジオではアナログ、デジタルのどちらの場合でもオープンリールのMTR(マルチトラックテープレコーダー)を使っていました。

スタジオにアシスタントエンジニアとして就くと必ずオープンリールテープレコーダーの取り扱い方法や操作を習いました。

1991年頃からコンピューターを使って音を録音、編集、ミックスできるProToolsシステムが発売され話題になりました。

当時まさかこのProToolsがスタジオ設備の主流になるとは思ってもいませんでした。

レコーディングエンジニアというとつまみの沢山付いた大きなミキサーを操作しオープンリールテープレコーダーを回して作業をするイメージでした。

バブルが崩壊して過剰に出来たスタジオは淘汰され体力のあるスタジオとローコストな小規模なスタジオに二分化されてきました。

1990年代の後半から2000年にかけてはコンピューターの高性能化で個人ベースでも本格的な音楽制作環境が手に入る時代になりました。

レコーディングエンジニアが行っていた大がかりな作業もミュージシャンやアレンジャーでもコンピューターを使って出来る時代になったのです。

ほかでもこのように何かの作業がコンピューターに取って代わった業種も多いのではないでしょうか?

スタジオ関係者の中にはこの現象を悲観的に捉える人も少なくありませんでした。

職業というのはこのように時代背景の影響を受けるものだと身をもって実感しました。

今の職業の理想はサービスの質に見合う費用が認識されることのように思いますね。

現実は仕事が欲しい人と安くて良いものを求めるユーザー価格競争で単価だけが一人歩きしているようにも思いますね。

音響技術は量産品のように価格競争するような性質のものでは無いと思いますね。

この記事を書いた人

東 春平代表取締役 / 音響エンジニア
音響と音楽で皆さんの役に立つことを考えています。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です