「一人っ子たちのつぶやき」を読んで
少し前になりますが書籍「一人っ子たちのつぶやき」という書籍を読んだ感想を記事にしたいと思います。
この本は中国人作家 陳 丹燕(チェエン タンイェン)さん著作で1999年に発行されたものです。
自分は一人っ子ではありませんし自分の回りにも一人っ子は少ない環境で育ってきました。
最近中国人との交流がきっかけで一人っ子について考えるようになりました。
中国では1979年に北京、上海などの主要都市で一人っ子政策を開始していますからこのような地域出身で現在30才以下の人はほとんどが一人っ子になります。
一人っ子はそうでない人と何か違いがあるのでしょうか?そういった興味から本書を読むことにしました。
本を読む前は一人っ子とそうでない人の違いを具体的に知ることが出来ればよいと軽い気持ちで読み始めました。
内容は17才前後の一人っ子の手記が中心で5部のテーマに分けてまとめあります。最後の6部はどうしてこの本ができたかなどまとめ的な内容になっていました。
手記は女性が多くその内容は社会背景と思春期の複雑な心で思い悩む気持ちがリアルに表現されていました。
約70人の手記を聞き取り調査も含め2から3年かけてまとめたそうです。
自分は4人兄弟の長男として育ちました。色々な一人っ子たちの手記はとても興味深いものでした。
読み進めていくと社会背景の違いは別として自分の17才前後の気持ちと比較してみても中国の一人っ子たちの気持ちとたいして変わらないような気がしてきました。
手記の中から違いを見つけようと努力しましたが一人っ子の特徴や違いを見つけることは出来ませんでした。
参考までに目次を掲載します。
第1部 わたしは父と母のもの
第2部 親友がほしい
第3部 愛ってなあに。わたしにはまだわからない。
第4部 わたしが何を考えているか、わかる?
第5部 現実と理想がぶつかっている
第6部 新しい時代の足音
本題から少しそれるのですが同世代の女子の文章と男子の文章からその成熟度の違いを読み取ることができて面白かったです。
思春期には女子の方が早熟なのは日本でも認知されていると思いますが中国でも同じですね。
それから中国人は会話や文章の終わりに「そうでしょ。」という表現をよく使います。これは中国人と接して感じる日本人のあまり使わない表現なので新鮮で自分は好きです。
第5部まで読み進めた自分の印象では一人っ子とそうでない人の心の違いはほとんど無いのではないかと思いはじめめました。
第6部のまとめを読むと欧米の研究では一人っ子とそうでない人の違いは存在しないという研究結果もあるようです。
中国の研究では社会環境の違いから欧米の研究結果はあてはまらないという考えもあるようです。
研究は今も続いていることでしょうが一人っ子は社会が持つ一人っ子のイメージを背負って生きてかなければならないと言うことは確かなことのように思いました。
一人っ子でも一人っ子でないような印象の人もいますしその逆もあると思います。
また子供の頃と成人してからでは印象も大きく違ってくると思います。
この本を読み終えて最終的には一人っ子というフィルターを通して相手の事を考えるのは適切ではないように思いました。