フロントステアーとリアステアー
この言葉はここ5年くらいで知ったのですが1980年代に自分が二輪ジムカーナに取り組んでいるときも言葉は違うけれども同じ意味と思われるテクニックとして認知されていました。
よくライテク本などに「オートバイは後タイヤで乗れ」などと書かれていますがそれと同じことなのかどうかはわかりませんが今回はこのことに付いて考えてみたいと思います。
二輪ジムカーナ競技においてはフロントステアーとリアステアーの両方を使いますのでどちらが良いという話しではありません。ライダーがコース状況に合わせて最適なステアリング方法を使い分けるものだと思っています。
●フロントステアー
これは直線パイロンスラロームにたとえると分かりやすいのですがステアリングヘッドあたりを軸にして振り子のよう切り返すステアリング方法です。
操作はニーグリップを普段より強くしてハンドルを先行して逆に切るようなイメージでおこないます。
客観的に見るとライダーの上半身はあまり動かずにバイクが振り子のようにバンクします。
バンクが始まる時のタイヤの軌跡がS字を描くのが特徴です。
●リアステアー
こちらはタイヤの接地している部分を軸にしてバンクする方法です。やじろべいのような感じと言ったら分かるでしょうか?
バンドルはこじらずに後タイヤからスッと倒れるようにバンクします。オーバースピードだと倒し込むことが難しくなりますのでスッと倒し込めるスピードまで十分減速するのがポイントです。
客観的に見るとスーッとコーナーに吸い込まれていくようにも見て取れます。ライダーの上半身はもちろんバイクと一緒にバンクして行きます。
バンクの始まる時のタイヤの軌跡はほとんど直線のイメージです。
フロントステアーはバイクを寝かし込む手応えがありますがリアステアーは手応えが無いので体感スピードは遅く感じます。
自分がモトビトさんのジムカーナDVDなどを見ているとリアステアーが有効だと思われるポイントで多くの人がフロントステアーを使っているような気がします。
リアステアーは体感速度が遅く感じるのでなかなか実践できないのかもしれませんね。
フロントステアーは直線パイロンスラロームの練習で習得できるのでジムカーナライダーには親しみやく最初に習得するハンドリングなのかも知れません。
余談ですがロードレースライダーにジムカーナコースを走ってもらうとほとんどリアステアーでコースを走ります。
たしか1983年頃に兵庫県明石市でKawasaki主催で行われた全国ジムカーナ大会にロードレース国際A級の清原選手が招待され出走したことがありました。自分も関東代表選手として招待されて出走したのですがこの時の清原選手のリアステアー乗りは印象に残っています。
コース上のどのポイントでフロントステアーを使うのかリアステアーを使うかは毎回コースが変わる大会では決定的な答えは出せないと思います。
自分の考えとしては直線パイロンスラロームのようなバイロンをよけて走るようなポイント以外はリアステアーが有効なような気もします。
リアステアーを覚えると見た目は早くなくてもタイムは間違いなく削れるようになると思いますので興味のある方は研究してみてはいかがでしょうか?
実はどうしてリアステアーにするとタイムが削れるのかの詳し理由はよく分からないのですが経験で物を言っています。すみません。
思い当たることを挙げるとコース上のタイヤの軌跡が直線的になるので短い走行距離で走れるとか寝かし込みのエネルギーロスが少ないのでクリッピングポイントまで綺麗に減速しながら近づけるとかスローイン・ファーストアウトの原理にかなって力強く立ち上がれるとか考えられます。
本人はリアステアーをしているつもりでもビデオに撮ってよく観察してみるとフロントブレーキを掛けながらハンドルをこじっていたりするのです。
自分がそうでした(泣)頭で分かっていてもなかなかできないんですよね・・・やっているつもりが出来ていないなんてことは日常茶飯事です。はぁー
こんな現実を思い知ると仕事をしたつもりが出来ていなかったような気がして趣味なのに仕事より激しく落ち込んだりしてね・・・