ダイナミクスの話

皆さんはダイナミックレンジという言葉を聞いたことがあるでしょうか?

音響エンジニアというと良い音を制作する技師のようなイメージがあるかもしれませんが実は録音した音のダイナミクスを調整するといった大切な仕事があります。

ダイナミクスとはダイナミックレンジを調整する作業やその結果に対して使う言葉です。

ダイナミックレンジとは一番小さな音と一番大きな音の差をdB(デシベル)と言う単位で表すものです。

音圧レベルなどともよく言われます。元の音圧をP0として増えた音圧をPとすると次のような式になります。

音圧レベル(SPL) = 20log10 P / P0(dB)

自然界の音は120dBを越えると言われていますが録音機器や再生機器は90dBから高価な物でも100dBぐらいかと思います。

ですから自然界の音をそのまま録音したり再生したりすることは現時点では不可能なので音響エンジニアは適正レベルになるように音を圧縮します。

たとえばCDのダイナミックレンジは90dBくらい。FM放送で80dBくらいになります。

現実的にはこのダイナミックレンジを全て使って作品を仕上げると音の大小が激しくなりすぎて聞きにくくなってしまいます。

例えば映画の音は映画館で再生されることを前提に仕上げられているので家庭で鑑賞すると小声の台詞が聞き取りにくかったり爆発などの音が大きすぎたり感じることはありませんか?

これは作品のダイナミックレンジが広いのが原因なのです。家庭向けのビデオやDVDなどの映画作品の中には家庭で鑑賞することを前提にダイナミックレンジを狭くしてあるものもあります。

またFM放送なども車を運転しながら聞かれることを想定して運転中の走行ノイズに埋もれて聞き取りにくくならないようにダイナミックレンジを圧縮して放送されています。

CDなどは高級オーディオから車、ヘッドフォンステレオ、有線放送などさまざまな聞かれ方が想定されますのでダイナミクスを調整するのが結構難しいのです。

欧米のCDなどはこの難しいダイナミクスの処理が絶妙で関心するものが多いですね。

日本の場合は単純に平均音圧を上げて大きな音に聞こえるような処理が目立ちます。

このようなダイナミックスを処理する機器のことをコンプレッサーとかリミッターと呼び高価な物では300万以上します。

ちなみに自分のスタジオでは340万のコンプリミッターを愛用しています。

ところが最近はコンピューターソフトでこのような処理をするものがたくさん開発されており次第に自分のように外部機器を使って処理するケースが少なくなっています。

コンピューターソフトで行うメリットはコストパフォーマンスと再現性の高さ、そしてあらかじめファクトリーでプリセットされた設定かも知れませんね。

経験の浅いエンジニアにはプリセットは便利で重宝するかも知れません。

しかしこのプリセットを使うと皆おなじようなダイナミクスになってしまうのが欠点かもしれません。

CDを試聴していて、あ、これはあのソフトのあのプリセットを使っただけの音かも知れない・・・なんて感じたりします。

それが当たっているかどうかは分かりませんけどね。

意外と知られていないかもしれない音響エンジニアの大切な仕事。ダイナミクスについて書いてみました。

一般の方にはちょっと難しかったかな?簡単に書くように心がけたつもりですが・・・。ご勘弁ください。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です