音楽鑑賞で低音の響きは床の影響も大きい?
今回は音楽を制作する立場から音楽鑑賞に付いてのことを記事にしてみたいと思います。
自分は日本はもちろん欧米の音楽家の方と音楽を制作する機会もあります。
その時に一番感じるのは国によって音の嗜好が違うということです。これは言葉の関係や生活環境の違いから来るものと言われています。
大雑把な言い方をすると中低音に意識の高い欧米に対して日本人は中高音に意識が高いような感じがします。
この話題を欧米人とすると欧米では会話の微妙なニュアンスを言葉の低い部分で表現するから低い音に敏感になるのでは?
と言う返事が返ってきたりします。この傾向は音楽のバランスにも現れます。
余談ですが車の走行ノイズの低音域に関しては日本人はうるさいみたいです。
音楽を部屋でスピーカーで鳴らして聞くとスピーカーから直接届く音と部屋に反射して耳に届く音の2種類の音を感じています。
スピーカーから出た音は高音は直進性が強く低音になるほど広がる傾向があります。
この感覚を体感する簡単な方法があります。オーディオシステムのイコライザーなどの音質をフラットにしてスピーカーで音楽を試聴したあとヘッドフォンで試聴してみます。
ヘッドフォンから聞こえる音はほとんどがヘッドフォンスピーカーから聞こえる直接音です。
もし違いを感じる部分があるとしたらそれが部屋の間接音の影響と考えられるわけです。
いい音とか好きな音というのは必ずしもヘッドフォンから聞こえてくるようなフラットな音ではないと思いますが・・・。
このような比較試聴をしたときに一番違いが出やすいのが低音のニュアンスではないでしょうか?
人間の耳は音量が小さくなると低音が聞き取りにくくなる特性を持っていますので試聴する音量にもよりますが。
実はこの低音のニュアンスは床の影響が大きいのです。
床が低音で振動して間接音として耳に届いている比率が高いと言ったら分かってもらえるでしょうか?
試しにスピーカーを床に直接置いた場合と床から離した場合で試聴するとその違いが分かりやすいと思います。
締まった低音が好みの場合は床から離して甘い低音が好みの場合は床に近づけた方が良いかもしれません。
またカーペットを使ったりソファーなどの家具の位置を変えたりしても床の共振が変わるので低音のニュアンスが変化すると思います。
我々が音楽制作をする時にはこのような床の共振があっては音作りがしにくくなります。
そこで音楽スタジオでは共振周波数を計算して床を設計します。そして遮音のためにその床をゴムなどで浮かしていわゆる浮き床という構造にしています。
このようなスタジオで音楽を聞くと不要な共振が少ないのでクリアーに音を聞き取ることができ音作りがしやすくなるのです。
よくスタジオ経験の少ない人からスタジオで聞いた音と家で聞いた音にギャップがあると聞きます。
このような場合は家の再生環境をスタジオの音に近づけるように調整してみるのも良いかもしれませんね。
次回のバイク系の記事は「DUNLOP杯2007 R5(最終戦)」をお送りします。お楽しみに♪